ハイライト
〇インドのバイオテクノロジーの未来を形作る複雑な力学が明らかになった。インドは、2002年のBtワタ承認後、同国におけるその他の遺伝子組換え(GM)作物の商業化は、社会政治的抵抗により停滞している。その理由がわが国とも似ているようだ。バイオセーフティ基盤の脆弱性、規制の断片化、公衆の認知不足といった弱点が特定され、これらがインドにおける商業化の進展を阻み続けている。合理化された規制、透明性のある野外試験、そして積極的な市民参加にかかっていると結論づけたところは、わが国にも言えることだ。
〇最近の研究によると、機械学習と 50 年にわたるイネ栽培実験が食料安全保障に重要な知見をもたらすことを示している。国際イネ研究所(IRRI)、岐阜大学、京都大学、農業・食品産業技術総合研究機構(NARO)、国際肥料協会(IFA)の科学者らからなる国際研究チームは、150 作連続の稲作データに人工知能(AI)を適用し、長期的なイネ生産性を左右する要因を解明した。窒素肥料の効率化と日照量が増収に一貫して寄与する一方、その影響は季節によって大きく異なることが明らかになった。特に乾季の夜間高温や雨季の湿潤・低日照といった季節特有の課題に耐える新品種の開発など、季節に応じた戦略の重要性が示唆された。また、同一品種を長期栽培すると窒素への反応性が低下し、病害リスクが増大することも判明した。
〇植物の成長促進と炭素固定を目的とした「malyl-CoA-glycerat (McG)」と呼ばれる新サイクルを設計した。McG サイクルは Calvin-Benson-Bassham(CBB)サイクルにおける二酸化炭素損失を克服するために設計された。McG サイクルを導入したトランスジェニック Arabidopsis は野生型と比較して、より大きく成長し、炭素同化量を 2 倍に増加させ、葉・種子・脂質の生産量が著しく増加した。この発見は、McG サイクルが炭素損失を低減するだけでなく、エネルギー効率と生産性を高めるフィードバックループを誘発することを示唆している。
〇Purdue University の専門家チームは、遺伝子組換え(GM)トウモロコシとダイズを識別する携帯型紙ベースバイオセンサーの開発に成功した。ループ媒介等温増幅(oop-mediated isothermal amplification、LAMP)技術に基づくこのバイオセンサーは、農家向けに迅速かつ低コストな分子ツールを提供するものである。
〇Purdue University の専門家チームは、遺伝子組換え(GM)トウモロコシとダイズを識別する携帯型紙ベースバイオセンサーの開発に成功した。ループ媒介等温増幅(oop-mediated isothermal amplification、LAMP)技術に基づくこのバイオセンサーは、農家向けに迅速かつ低コストな分子ツールを提供するものである。
植物
- AI が解明した世界数十億人のコメ収量維持の鍵
- CRISPR技術がイネ遺伝子の自然変異による有害影響を逆転
- Australian Grain Technologiesが世界初の二重除草剤耐性オオムギを発表
- インドにおける遺伝子組換え作物導入の障壁が明らかになった
- 米国農務省動物植物衛生検査局が遺伝子組換え技術を用いて花色を青紫色に改変した蘭の規制を解除
- ジャガイモ疫病病原体の防御動態を解明
- 植物の成長促進と炭素固定を目的とした新サイクルを設計
- 紙ベースのバイオセンサーが遺伝子組換えトウモロコシとダイズを検出
- Cold Spring Harbor Laboratory の科学者が植物成長の主スイッチを発見
- EU、遺伝子組換えトウモロコシ DP51291 の食品・飼料用途を認可
- CRISPR 技術で病害抵抗性カカオ植物を開発
食糧
- 第 8 回アジア農業バイオテクノロジー短期コース(8th Asian Short Course on Agribiotechnology, Biosafety Regulation, and Communication 、ASCA8)が研修・連携・持続可能性の基盤を構築
環境
- 太陽光で充電する暗闇で光る多肉植物 植物ベースの照明システムに新たな手法
- BROOKHAVEN NATIONAL LABORATORY の研究チームが燃料・バイオ製品向け大型・高耐久作物の鍵となるタンパク質を特定
- 神戸大学が生分解性プラスチック代替品を生成する細菌を開発
- ゲノム編集ポインセチアは自然に枝分かれし、細菌感染や剪定を必要としない
ゲノム編集に関する特記事項
- ゲノム編集されたジャポニカ米は粒径の改善と耐熱性を示す
- 免疫を負に調節する 2 つのイネタンパク質を発見